戦前から受け継がれて来た土地において、生まれ育った家の隣りに
家族4人で暮らす家を建てる計画である。敷地の廻りには実家の家
族や親戚が暮らしているため、開き過ぎず閉じすぎない、程よい肌
感を提供したいと考えた。
内部空間の特徴は、大きな吹抜けと、どこまでもつながる視線の抜
け、行き止まりの無い平面計画である。特に居間の吹抜けに面した
2階の子供室の小窓は、家全体をひとつにつなげる役割を担ってい
る。この小窓は、吹抜けの上部に溜まり易い熱気の逃げ道も兼ねて
いるが、ココから子ども達が顔を覗かせている様を想像しながらの
設計は、非常に楽しい時間であった。2人の子どもの背丈が、それ
ぞれの部屋の小窓の上に到達するまでには、あと数年といったとこ
ろである。家と一緒に成長する子ども達。行き止まりの無いプラン
ニングの家をぐるぐると走り回ってくれるだろうか。自分の部屋の
斜め天井&ロフトを友達に自慢してくれるだろうか。
外部空間としては、1階の居間の前に設けた大きなデッキが、居間
はもちろんのこと、キッチン、和室、更に和室の外をぐるりと回る
経路で洗面室に接していることによって、感覚としての床面積を拡
げる手助けをしてくれることを期待し、実際にそうなったと感じて
いる。
撮影:新澤一平